しんぶん赤旗2006年5月10日

水俣病50年G

真の解決へ

健康・環境調査ぜひ


 水俣病問題の真の解決について何が必要なのか、関係者に聞きました。


地域住民すべて被害者の視点で
宮本勝彬・水俣市長

 すべての被害者への補償・心のケアとともに、地域住民の理解「もやい直し」の両面をセットにしてやっていかなければ、本当の解決はないと思っています。

 地域住民の健康調査を国に求めていきたいと思います。経費はかかるでしょうが、状況をきちんと把握しなければ、この問題は解決しません。これまで手をあげることができなかった人が、それによって救われるのではないでしょうか。“地域住民すべてが被害者”の視点に立って取り組まなければいけません。

 三十年間、水俣市の教育現場で過ごしました。とくに、水俣病の授業では、同じ教室にチッソ従業員の子と被害者の子がいるので、配慮しました。部活動で他校に引率した際、「あっ、水俣病がきた、うつるぞ」といわれた経験もあります。子どもたちは今、国内外の交流会などで「水俣からきました」と胸を張っています。誇りと自信を持つ子に変わりつつあると自信をもっていえます。

 水俣病の教訓は大きな財産です。水俣病の痛み・苦しみは、ここに住んでいるものが一番分かっていることですから、十分、水俣病の教訓を訴えていかなければと思っています。


汚染実態解明し教訓を世界中に

藤野糺・水俣協立病院名誉院長(現、桜が丘病院院長)

 世界中で水銀の微量汚染問題が広がっています。世界で一番、水銀汚染の被害を受けた日本が防止の先頭に立たなければいけないのに逆に、汚染の実態を隠し、水銀汚染を広げてしまいました。一九七三年から七八年にかけて、鹿児島湾奥部とトカラ列島で感覚障害の住民九人が発見されながら、「脊椎(せきつい)変形症」など別の病名をつけるという、これまでと同じ理屈で押しつぶしたのです。この時、メチル水銀微量汚染の影響という立場で診断していたら、その後、世界中で引き起こされるメチル水銀の微量汚染は防げたかもしれないのです。

 カナダ政府は、日本の認定制度をそっくり踏襲したため、カナダの医師は“糖尿病があるから水俣病かどうか分からない”というようになっています。日本が悪い先例をつけたのです。

 「手あげ式」では患者さんは出てこないということは、関西訴訟最高裁判決を契機に、認定申請が急増している事実で、イヤというほど分かったはずです。まだまだ潜在患者がいるのです。

 本当に水俣病の教訓を世界にいかそうというのであれば、汚染の実態を明らかにして、健康調査、環境調査を徹底して、すべての患者を救済しなければいけません。


身近な人たちの苦しみ見てきた

不知火患者会事務局の小島大功(だいこう)さん(二五)=御所浦島(熊本県)で生まれ、海を駆ける海上タクシー「宝山(ほうざん)」の船長=

  昨年二月の患者会立ち上げから参加しています。七十七歳のばあちゃんは、第三次訴訟の原告でしたが、手の震えがかなりひどかです。ばあちゃん、おやじと、身近な人が水俣病で苦しむのを見てきました。

 一昨年の暮れ、水俣病の検診に向かう医者ば、おやじが乗せた時、「隠れ患者ばおらんか」「こっちでも探してみましょうばい」と、ことばを交わしたのがきっかけで、水俣病問題に取り組むようになりました。

 裁判にかかっとらんで隠れとる人がまだまだおるとです。苦しんどる人が、一人でも多く健康調査を受けられるようにしたか。(おわり)

(この連載は、青野圭、村山智、山本弘之が担当しました)