しんぶん赤旗九州・沖縄面2006年8月2日(水曜日)

水曜随想

話がちがう郵政民営化

衆院議員 赤嶺政賢


 「話がちがうじゃないか」といいたくなるのが郵政民営化問題だ。民営化の実施は来年十月。計画では世界最大の資産を持つ「巨大銀行」を新たに誕生させ、郵便局の銀行窓口とは別に銀行直営で二百三十三の支店を全国展開する。九州の主要都市に「ゆうちょ銀行」の看板が展開することだろう。

 その一方で郵便配達業務はサービス後退だ。郵便物の収集・配達業務を千四十八局で廃止し、九州では百十八局がその対象になっている。廃止されるほとんどは離島や山間一地。これらの地域から郵便物の収集・配達業務をうけもつ郵便局員・がいなくなる。窓口は残るが将来はわからない。

 竹中担当大臣は「過疎地についてはもちろん現状を維持する」と答弁を繰り返していたではないか。参院の付帯決議は「現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう、万全を期すること」となっていた。いくらなんでも「こんな話は許せない」。

 計画の撤回をもとめて、先日、九州各県の離島、山間地をはじめとする二十四人の地方
議員と党組織代表、私(赤嶺)、田村(衆院比例候補)が熊本市にある日本郵政公社九州支社におしかけた。支社も各分野の部課長、係長をずらりとならべてわれわれに応対した。

 集配業務を廃止した理由を聞くと、「民営化にむかって郵便事業を効率化する必要があるため」という。「だから採算のとれない離島や山間地の郵便局を標的にしたのか」という追及に「郵便物の配達の遅れは生じても、時間単位のものであり、一日遅れということはない」などとこたえる。

 そんなことは机上の空論だ。外海離島で郵便集配業務を廃止したら、いちいち本土(あるいは大きな島)から郵便物を集めにきて、集めた郵便物はいったんもちかえる。「船は一日一往復、どうやって日をまたがないで配達することが可能か」と実態を知りつくしたこちらの追及に公社も答弁に窮してしまった。

 各県の党の代表は次々立ち上がって地元での郵便局の役割を訴えた。「過疎地の郵便局員はその土地に住んでいるから顔なじみの関係。集配業務が廃止されて、遠いところから郵便配達がきても安心して郵貯や簡保など現金をあずけることもできなくなる」「郵便局員は配達しながら一人ぐらしのお年寄りに声をかけ安否をきつかってくれる」「郵便局員が、道路や標識、街灯の破損の情報提供までボランテイアでやってくれる。町の隅々まで知り尽くしている郵便局員だからできる」。

 支社の代表もわれわれのリアルな訴えに圧倒されたのか、みるとみんなノートをひろげて熱心にメモをとりだしていた。「廃止計画を撤回せよ」という要求は平行線だったが、交渉がおわった後支社の代表は私に、「きょうのお話はありのまま本社に報告します」

 「郵便局が地域にこんなにも愛されていたということがよく分かる話し合いでした」とお礼をいってきた。

 その後、全国の十三局で集配廃止の延期がきまった。そのうち十二局は九州地方だ。延期の理由は「関係自治体に理解を得られるのに時間を要する」ということである。

 私はあのときの交渉が初歩的ではあるがこういう成果につながったと確信している。昨年の総選挙では、小泉首相の郵政民営化の絶叫に押し切られたが、あれから一年もたたないうちに、その路線はぼろぼろだ。

 党の草の根の力と国会議員のむすびついたときの力強さを実感させた交渉だった。

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