2006年8月16日(水)しんぶん赤旗九州・沖縄面
水曜随想
平和へ真実伝える
田村貴昭
長崎の平和公園や原爆資料館などの周りには、水の流れるオブジェがいくつも見られるが、その一つに「あの日のある少女の手記から」という碑がある。
「のどが渇いてたまりませんでした。水にはあぶらのようなものが一面に浮いていました。どうしても水がほしくて、とうとうあぶらの浮いたまま飲みました」
――真夏の空から突然の爆風、熱線、放射能・・・水がさぞかし欲しかったろう。熱くて痛くてたまらなかっただろう。絶えることなく水を流し、戦争犠牲者の霊を慰め続けてほしい。
昨年は、被爆地を訪れることも、戦争について考える余裕もなかった。8月8日に国会が解散して、総選挙へ突入したからだ。
あの時、私たちが訴えた増税・改憲問題は、この一年の展開を見ればまさに最大の争点であった。しかし、マスコミを先頭に世間は郵政民営化・「小泉劇場」に傾倒した。すでに痛みの政治が国民を襲っていたにもかかわらず。
精神科医の香山リカさんは、著書「テレビの罠――コイズミ現象を読みとく」でいろいろな角度から総選挙の結果と国民の意識を分析している。「…『勝ち馬に乗り遅れたらもうおしまいだ』という切迫した不安が巣くっていたことなのではないだろうか」「たとえ一瞬でも“セレブオーラ”
を浴びて『私だって本当は勝ち組よ』という幻想に漬せなければ毎日を乗り切っていけないほど格差が広がり、“格下”にいる人たちは逼迫した状況にある…」
私も、政権与党のウソとゴマカシ、マスコミの巨大な力に、国民がただ踊らされているとは思わない。平和と暮らしを脅かす政治に対して、有権者の目線は冷静で厳しい、というのがこの一年間の活動をとおしての実感だ。要は我々の主体的な力の構築である。
本稿を書いている時に、かつて対話した福岡市東区の青年が「党に入ってがんばっています」とメールを寄せてくれた。うれしい。共産党熊本県委員会の支部経験交流会で居住支部の方が「私たちは微力だが、無力ではない」と発言したことを思い出す。
たった今、小泉首相が靖国神社を公式参拝したニュースが飛び込んできた。侵略戦争を正当化する広告塔に頭を下げ、またしても平和と戦争犠牲者を冒涜した。
真実を伝え、正義を貫く活動をいっそう進めなければ。二度と戦争を繰り返してはいけないし、1年前のような選挙結果をつくりだしてもいけない。8月15日の決意。
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