しんぶん赤旗九州・沖縄面2006年9月6日(水曜日)

水曜随想

薬害根絶の原点

参院議員 仁比聡平


 公害・薬害は後を絶たない。それは国が、国民的たたかいによって幾たびも断罪されながら被害から目を背け、国と加害企業の責任による早期・全面救済と被害の根絶という
憲法に求められる当然の立場に立とうとしないからである。

 薬害C型肝炎訴訟の福岡地裁判決前夜(8月29日)、支援集会で原告たちが次々と語った病苦と悲しみ、理不尽な薬害によって人生を奪われた怒りは、誰の胸をも揺さぶるものだった。被害者の訴えに「ひとごとじゃない」と支援を広げる学生たちの姿は、尊く純粋である。

 フィブリノゲン、クリスマシンなど血液製剤のいかんを問わず、集団予防接種によるB型肝炎とあわせ、三百五十万人といわれるすべてのウイルス性肝炎患者の被害救済と恒久対策を確立させることは、いのちと健康を守る政治への転換の重要なたたかいである。

 三十年近く前、福岡スモン訴訟で裁判所は、次のようにのべた。

「その被害の深刻さと広がりのすさまじさは、当裁判所にとっても驚きであった」「その根源が肉体的苦痛にあることからの叫び、安全であると信頼して飲んだ薬が毒であったことを知った悲しみからの叫びであることに、裁判所も被告ら(国と製薬企業)も、よく耳を傾けなければならない。これこそが本裁判の原点だからである」

 「それは、第一に、『もとの体にかえせ』との叫びにみられる早期完全救済への当然の願いであり、第二に、『薬害根絶』との訴えにみられる道義性の高さである」

 被害の広がりと悲惨さを直視することこそが、薬害根絶の原点である。そのことを厚生労働省は知るべきである。そして同判決が、憲法前文、一三条、二五条とともに一九六〇年当時の厚生大臣の次の言葉を引用して、厚生・薬事行政の責任を問うたことを肝に銘じるべきである。

 「戦争の激化とともに航空機の生産や労務の苛烈(かれつ)な動員に全機能を奪われた観のあった厚生省は、終戦後かつての戦争的性格を取り払い、国民福祉の行政の府としての本来の姿を取り戻した。すなわち憲法二五条が示す生存権的基本的人権の保障が厚生行政の眼目となった」

 「ひとごとじゃない」。力を合わせ、ともに歩もう。皆さんに心からよびかけます。

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