しんぶん赤旗九州・沖縄面2008年2月6日(水曜日)
水曜随想
漁民に万雷の拍手
参院議員 仁比聡平
一月二十八日、待ち望まれた長崎地裁の判決は「不当判決」だった。同じ日、佐賀県大浦の漁民が出稼ぎ先の瀬戸内海で亡くなった。豊穣(ほうじょう)の海を奪われて出稼ぎや陸仕事に原油高。生活がなりたたず表情は暗い。有明海漁民たちの臍(ほぞ)をかむ悔しさを裁判官は知るや。
判決は、諫早干拓地のリース方式について「被告(長崎県)の主張は自己に有利な事情を誇張し、自己に不利な事情を軽視しているといわざるを得ず、経営収支総括表のとおり、営農が成立することが確実に見込まれるといえるかには相応の疑問が残るといわざるを得ない」「本件干拓農地における営農が被告および国の現在の想定どおりに実現するとの見込みを信頼することができないとの原告の主張にも十分な理由がある」と指摘した。
ならば、そんな計画に返済の見通しもたたない公金を支出しようとする国と県の独断専行に(県の言い分どおりにうまくいっても返済には九十八年かかる)ストップをかけるのが司法の役割ではないのか。リース方式は、行き詰まりに行き詰まったあげくの弥縫(びほう)策であり、そこから目を背ければ事を見誤るのだ。
長崎県は、「財政再建団体に転落する」といって、くらし・教育の切り捨てを強行している。大型開発のあげく、借金のツケをあえぐ県民に押しつけるその手で、新幹線長崎ルートやこの諫早湾干拓に巨額の税金投入を続ける愚行。
判決直後に国会内で開かれた集会は怒りでみなぎった。その夜の報告集会には、首都圏の市民や団体が会場に溢(あふ)れ、長崎から上京・到着した漁民・市民原告と弁護団を万雷の拍手で迎えた。
「これが判決で負けた集会か」と思うほど「たたかいはこれから」の決意が東京で固まった意味は重い。この裁判を通じて、超党派の公共事業チェック議員の会は再始動した。研究者による最良の開門方法も明らかにされた。補助金だ、貸し付けだといって公金を投入するカラクリも明らかとなった。
ギロチンからもうすぐ十一年。たたかいはこれからである。
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