しんぶん赤旗九州・沖縄面2008年3月26日(水曜日)
水曜随想
ジェーンさんのこぶし
衆院議員 赤嶺政賢
3月23日沖縄県北谷(ちゃたん)町で「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」が開かれた。どしゃぶりの雨のなかを6千人が参加した。保守系首長までが「人権蹂躙を許し続けるこの国のありかたを問いかえすべき」と日米安保体制そのものを念頭に厳しい批判をくりひろげた。次の県民ぐるみの大規模集会への手ごたえを感じた。
ところで、県民大会にジェーンさん(仮名)というオーストラリアの女性が登壇した。彼女は6年前に横須賀市内で米空母キティーホークの兵士に暴行された自らの体験を渾身の力をふりしぼって訴えた。レイプ被害者が姿をあらわして訴えることは、まずありえない。彼女が、「沖縄の集会で訴えたい」と言い出したとき、私は腰をぬかさんばかりにびっくりした。彼女にはたえられないと考えたからだ。ところが彼女は決意を固めていた。
それは、沖縄の被害を受けた女子中学生をはじめ、戦後このかた泣き寝入りせざるをえなかった米兵によるレイプの犠牲者にたいしてメッセージをおくりたかったのだ。「被害者は何も悪くない」「米兵の体全体が武器になっておそいかかってくる。こんなことがくりかえされる日本はコンバットゾーンだ」「あなたは決して一人ではないということを伝えたい」と彼女はきっぱりしていた。
集会が終わった夜、赤嶺室の竹内秘書、土方秘書をつれて私の友人の喫茶店にいったら、偶然そこでジェーンさんと会った。沖縄のレイプの被害を告発している富田(仮名)さんといっしょだ。「ジェーンさん、集会でパニックにならずにきちんと訴えられるかやきもきしていたよ」というと、「エッ、やきもち?」ときた。「ちがう、やきもきだ」と大笑いになった。
すでに顔見知りになっている秘書二人は英語も堪能で微妙なニュアンスを英語の会話でつないでくれる。集会が終わったあと、彼女のところに70代の女性が「私も米兵によるレイプの被害者。だれにもいえずにきょうまできた。あなたの行動に勇気をもらった。これからは胸をはって生きられる」と握手をもとめてきたそうだ。「2人で抱き合って泣いていた」と富田さんの表情も明るい。「今日は涙流さなかったでしょう。わたし強くなった。私ひとりでないことがわかった。これおぼえたもん」といって、がんばろうのポーズをとっておどけてみせた。
「犠牲者のためにも声をだしつづけたい」との彼女の言葉に私たちは涙した。富田さんをおそった3人の米兵たちは処罰されていない。ジェーンさんの事件も、日本の検察は不起訴にし、裁判権を手にした米軍法裁判でもおとがめなし。民事訴訟では勝利し、被告に慰謝料など300万円の賠償を命じたが、米兵は審理中に除隊し米本国に逃亡して行方不明だ。
ヨーロッパに駐留している米軍に比較して、日本の駐留米軍は凶悪犯罪が多すぎる。沖縄の海兵隊も横須賀の空母打撃軍も米軍のなぐりこみ部隊だからなのだ。実働部隊が町をうろうろすれば「まるでサフアリーパークだ」と基地の町の町長さんが叫んだ。なぐりこみ部隊をうけいれている政治を変えない限り、「犠牲者は私たちを最後にして」という富田さんやジェーンさんの叫びはかなわない。議員と秘書2人は「われわれの責任は大きいナ」と決意新たに彼女たちと別れた。 |→TOP|
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